2014年12月17日に東京、御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンターにて
特別セミナーを開催いたしました。
株式会社LIXIL様、東京海上ホールディングス株式会社様にご登壇いただき、
国内外の経営人材開発施策、および今後の課題などについてお話いただき、
大変意義深いセミナーとなりました。
株式会社LIXIL「LIXILにおけるグローバルリーダー育成について」
株式会社LIXIL 上席執行役員 人事総務本部
人材開発部長 上田 彰氏
LIXIL社は、2011年に5社統合という大きな変化を起こした会社です。
統合後、数ヵ月という猛烈なスピードで構築されたリーダーシップトレーニングを柱とした人材育成体系についてお話いただきました。
・LIXILのグループ経営理念
http://www.lixil.co.jp/corporate/vision/
・LIXIL社の人材育成
http://www.lixil.co.jp/corporate/csr/employee/career.htm
「リーダーシップ」への転換とは、これまでの「管理中心、年功序列、マネジャー志向」から「実力主義、変化をもたらす、ラインにオーナーシップを任せる」ことであり、社内制度を180度転換させることを意味しています。
「45歳の社長を誕生させる」「早い段階でリーダーになる準備をしてもらう」 という大きな目的のために、トレーニング対象を拡充しました。
統合前の5社それぞれに存在した研修施策を整理し、
人事制度と合わせて改革するということは並大抵のことではありません。
体系だった研修施策はきちんと整理され、困難を感じさせない落ち着いた語り口で上田氏は説明されていましたが、通常ではありえないスピードで改革を断行したことに、上田氏の確固たる信念とLIXIL社の圧倒的な強さを感じました。
自分を知ることがなければ、戦略を立てられない、という最初の言葉が大変印象的でした。
トレーニングでは経営トップ自ら、思いや期待を直接参加者に伝え指導を行い、上の層ほど『自分の軸』や、リーダーしての『発信力』の養成を重視し、下の層では基礎力をメインにリーダーとしての心構えを養成します。
最後にリーダーシップ研修の総括をお話いただきましたが、「リーダーになる準備をしてきた社員はいない」という言葉に多くの参加者から共感のメッセージが寄せられました。
人材開発に携わる方であれば、この研修施策は本当に意味があるのだろうか?と自問することがあるかと思いますが、上田氏が総括したお言葉は大変力強い応援のメッセージとなりました。
東京海上ホールディングス株式会社「東京海上グループにおけるグローバル人材戦略」
東京海上ホールディングス株式会社 海外事業企画部
グローバル人材開発グループ グループリーダー 岡本 和典氏
東京海上日動火災保険株式会社 人事企画部
企画組織・能力開発グループ
専門課長(グローバル化推進担当) ジェームス デイ氏
東京海上ホールディングス社では、2000年以降、海外での買収も含めた海外保険事業の拡大に伴い、急激に組織のグローバル化が求められるようになり、2010年7月、グローバル人材戦略を企画・立案・実行するための専門組織「グローバル人材開発グループ」を設け、グローバル人材戦略の3つの柱を定めました。
“Good Company”という共通のビジョンを掲げ、それを国内外で浸透させるために研修を実施したり、伝道師を育成します。各国のHRを巻き込んで一体となって実行します。
デイ氏が、各階層への多様な研修施策を実施。
採用計画策定からグローバル人材の選抜、人材育成に至るグローバルなタレントマネジメント全般に従事。
海外業務と関連がない社員にも、外国人社員が社内にいることに慣れてほしい、という目的もあります。
採用計画策定から、グローバル人材の選抜や様々な階層を対象にした研修を含む、
タレントマネジメント全般にデイ氏は関与しています。
日常的にグローバルな業務に従事している社員や将来の駐在候補者に対しては勿論ですが、
そうでない社員に対しても、グローバルなマインドセットを醸成することが会社全体の競争力に繋がるという意識で施策を推進しています。
東京海上では国籍を問わず、適材適所での人材配置を進めており、現在、海外現地法人のCEO、Directorの多くは現地のローカル人材になっている。海外ローカル人材の経営幹部向け、シニア層、ミドル層社員向けの研修プログラムも実施、企業理念の共有やリーダーシップ開発に注力しています。
参加者は東北の被災地を訪問し、現地の代理店や社員との議論を行い、当時どのような対応をされたのかをお聞きすることで、東京海上グループの存在意義について深く考え、そしてグループの価値観やビジョンについて頭ではなく心で感じています。
自社の果たすべき役割や、保険業界で働くことに対する誇りをグループの一体感とともに肌で感じた参加者が伝道師となり、帰国後に自分の声で語ってもらうことが企業理念浸透の重要なポイントであると岡本氏は語ります。
組織を作り上げる部分で、人事が戦略的に大きく経営に関与しているところに東京海上ホールディングスの強さを感じました。
経営理念を海外のHRと一体となって創り上げる中、「Good Company」を提案するも、
英語で「Good」は「普通」という意味になってしまう、なぜ「Excellent」ではないのか?と冷ややかな反応が出たそうです。
他と比べて優れている、単に規模が大きい、収益性が高い、という意味ではなく、道徳的に正しいことをやり抜く、という意味を込めたことを説明し、「良い会社、“Good Company”」に皆が納得した
というストーリーをご共有いただきました。
マニュアルだけ、ルールだけで人をコントロールすることは出来ないため、例えばA or Bを選ぶ極限状態となった時の拠り所(=企業理念)となるものが必要なのだそうです。
日本に在籍する社員だけでなく、海外グループも含めた社員のための理念であるべき、という思いがひしひしと伝わってきました。
社員の○%を~にする、などという目標を掲げると、それ自体が目的化してしまう。
そうではなく、本来あるべき姿を徹底的に議論し、数値目標よりも本質的に何が必要かを考えることが大切、という岡本氏のコメントが印象的でした。
それは、本質的に重要な経営判断の拠り所となる企業理念がしっかりと確立されているからこそと感じました。
パネルディスカッションではPMI(M&A成立後の統合プロセス)に関して、
現状の取り組みなど、詳細に渡ってご共有いただきました。
(質問)統合の際に大変だったことが多くあったかと思いますが、
どのように乗り越えられたか教えていただけますでしょうか?
(上田氏)苦労には感じたことはないですが、ゼロから創るということはチャレンジでした。
やはり各社にヒアリングを丁寧に実施するようにしました。
(質問)PMIで重要なことは何でしょうか?
(デイ氏)自分の会社を理解し、守るべきものが何か考えるべき。
日本では、別の会社で働いたことがない社員が多いので、外を知る機会を持ち、自社の強み、弱みを分析できることが大事。
(質問)リテンション策で工夫されていることはありますか?
(岡本氏)サクセションプランをしっかり持っておく。
海外では転職は当たり前で長くいてもらえればいいという訳ではない。
(質問)PMIの失敗談はありますか?
(岡本氏)例えば日本流にエクセルで四半期ごとの詳細なデータを求めるとする。
そのデータが何に使われるのかきちんと説明し理解されないと、相手側の不信感につながる。
そういった小さな文化の違い、コミュニケーションでの齟齬を放置すると、大きな問題に発展することもある。
(質問)1兆円という海外売上の大きな目標を達成するために、リーダーにはどんなことが必要なのでしょうか?
(上田氏)リーダーシップ研修で自分の軸、強さを持ってもらうこと。
日本人は謙虚さが美徳とされますが、議論になると負けてしまう。
パッションを持って、自分の意見を言うことを身につけてほしい。
これから益々重要となる人材開発について、皆様から多くの質問が寄せられ、
時間終了が惜しまれるQ&Aとなりました。
(質問)グローバル人材育成についてHRから話すと、理想論だと現場から批判を受けるが、
どのようにしているか?
(岡本氏)Local CEOからBuy-in、Commitmentをとるようにしている。
初期のころはHRとして独りよがりで失敗もあった。
研修の参加者からCEOや同僚に対して、いい研修だったというフィードバックが伝わるようになって、やっと回り始めた。
CEO会議で定期的にグローバル人材育成について発表している。
(質問)海外研修を企画する中で、グローバル人材の定義を模索中です。
インド人の同僚から日本人はグローバルを気にしすぎと言われるが、アドバイスはありますか?
(デイ氏)完璧主義をなくすこと。何のためのグローバルなのか、目的を明確にすべき。
(質問)選抜の工夫は何かしていますか?
(岡本氏)日本企業では平等主義が未だに残っている部分もあり、年次や○年目となりがちだが、
変わりつつある。柔軟な運用が必要。
(上田氏)人事制度も一緒に変えていく必要があり、ラインのトップと活発に議論をしている。
(デイ氏)新興国市場では、国内の評価の高い人材とは違うタイプの社員が活躍する場合がある。
(質問)Local HRとの連携で工夫していることはあるか?
(上田氏)月1回、Global HR会議を開催。VALUEを全世界共通にして、その浸透をはかっている。
(質問)買収した後にITシステムに問題があることが分かり、再構築が必要となることが多いが、
M&Aの際にシステムを分かる人が入っていない。エンジニア向けの研修はどうしているか?
(岡本氏)大きな課題で、Function別の会議も実施している。
例えばCIO Conferenceも実施しており、日本人も入っている。
(質問)ローカル人材は日本企業のグループということはあまり意識していない。
Internal Communication で気をつけていることはありますか?
(岡本氏)共通の価値観が重要。肝は現地法人のLocal CEOが本気で語れるかどうか。
伝道師を本気で作るかどうか。一人でも多く作りたい。
ベルリッツでは、グローバル人材開発に関する課題にお応えするべく 語学スキルの向上だけではなく、下記のようなカスタマイズソリューションをご用意しております。
ぜひベルリッツにご相談ください。